編み合わさる連帯の過去・現在・未来
依頼
Asian-Indigenous Relations Collective(AIR)は、バンクーバーのダウンタウン・イーストサイドとチャイナタウンを拠点に、アジア系と先住民コミュニティが共有する歴史に光を当て、伝える団体です。2025年9月には「編み合わさる連帯の過去・現在・未来」を開催しました。アジア系・先住民関係を扱う全国会議として、これまでで最大規模のものです。
クリエイティブディレクターとして、会議サイト、ランヤード、冊子、ポスターまで、すべての接点におけるビジュアルアイデンティティを率いました。2名のビジュアルデザイナー、UX/UIデザイナー、開発者とともに、情報性と象徴性を両立する一つの言語をつくりました。
課題の輪郭
アジアと先住民、二つの文化を誠実に受け止めながら、単に二つを並べたものではなく、連帯と相互のつながりとして幅広い人に伝わる。そんな全国会議のアイデンティティを、どう一つにつくるか。
ムードボード
どのプロジェクトでもするように、まずはイベントらしさを感じる視覚の断片を集めました。方向を決める余地があり、相互のつながりを中心に置きたかった。新しいシステムを発明するのではなく、AIRの既存デザインシステムを土台にしました。会議と団体が同じ言葉を話し、ゼロから始めずに済みます。
二つのコミュニティが出会う会議だから、ボードも両方から要素を集め、一つの場所へ持ち寄りました。
アイデア展開
まずデスクトップ版のサイトから始めました。参加者の多くは地域の人で、情報を読むのも主にデスクトップと想定していたため、最初のラウンドはレイアウトを中心に検討しました。
両方のための余白
週次の打ち合わせで、アジアの要素が先住民の要素を覆い始めていると指摘しました。そこでコースト・セイリッシュ文化をどう取り入れるか考え、籠編みとクジラのイメージにたどり着きました。クジラはコースト・セイリッシュの物語によく登場します。ステレオタイプへ平板化しないよう、チーム外の方にも相談しました。最終方向は図6から発展した、両コミュニティを最も均等に扱う案です。オレンジを主色にしたのは、先住民コミュニティが続けている、歴史と痛みを可視化する仕事を前景に置くためでした。
冊子デザイン
サイトの形が見えたところで、冊子の表紙へ移りました。初期スケッチでは大きく異なるスタイルと構成を試し、十分に探ったあと、すべてをデザインシステムの内側へ戻しました。
二つの言語、二つの配色
参加者には中国系の高齢者も多かったため、翻訳版を用意しました。それは冊子そのものにも影響し、書体は繁体字をきちんと扱える必要がありました。
冊子だけ主色が違うのはなぜか、と思うかもしれません。濃い色調は意図的です。大きなシステムの中で、それぞれの物理的な制作物を一つの存在として立たせたかった。媒体をまたいですべてが同じである必要はなく、印刷物の多くは独自の個性を保っています。それでもサイトの隣へ置けば、全体は一つに見えます。
デザインから開発への引き継ぎ
実装でもデザインを保つため、実務で使える資料を整えました。すべてのスタイルと階層を明記したタイポグラフィシステム、拡大やアニメーションに耐える各ビジュアル要素のSVG、各ブレイクポイントに対応したモバイルレイアウトです。
この準備は重要でした。サイトはアニメーションを多用し、どのサイズでも鮮明さと一貫性を守る必要のある文化的モチーフを扱っていたからです。
振り返り
この仕事を率いて学んだのは、文化への配慮は工程の一部ではなく、仕事そのものだということです。二つの異なるコミュニティを丁寧に扱うには、絶えない対話、外部への相談、そして多くの反復が必要でした。
週次の打ち合わせやデザインレビューを重ね、これほどチームと近く働いたことで、フィードバックと軌道修正のためにどれだけ余白を残すべきかも再確認しました。扱う要素が大きな意味を持つときほど、その余白が必要です。